ロンドン郊外にあるイギリス空軍博物館には、第一次世界大戦期から現代まで、イギリス空軍で活躍した貴重な航空機が展示されています。コレクションは圧倒的!しかも入場無料で楽しめます。
今回はそんな素晴らしいイギリス空軍博物館をレポートしていきます。
イギリス空軍博物館の基本情報
アクセス
イギリス空軍博物館は、ロンドンとコスフォードの2ヶ所にあります。今回は訪れたのロンドンの方です。
ロンドン中心部から地下鉄で40分程度の場所にあります。最寄り駅はNorthern LineのColindale駅です。Colindale駅から徒歩15分程度です。
Colindale駅を出ると、イギリス空軍博物館(Royal Air Force Museum)の案内があります。
案内に従って歩けば、迷うことなくイギリス空軍博物館に辿り着けます。
15分程度歩くと、イギリス空軍博物館の建物が見えてきます。
入口はとっても簡素。
敷地内に入るとイギリスの名機、スピットファイアがお出迎えしてくれます。
営業時間と入場料
- 営業時間:10:00〜17:00
- 最終入場:16:30
- 入場料:無料
イギリス空軍博物館はとっても多くの航空機などが展示されています。それなのに入場料は無料!これはもう毎日でも行きたくなるレベルです。
最新の情報はイギリス空軍博物館のホームページに記載がありますので、チェックしてください。
見学に必要な時間
見学時間はマニア度によりますが、2時間から半日くらい。
イギリス空軍博物館は航空機の黎明期から現代まで、幅広い航空機が展示されています。中でも、Hagar 3-5の第二次世界大戦期の航空機は見応え十分。
できれば、半日くらいはかけて、じっくり見学したいところです。
イギリス空軍博物館の展示を紹介
航空機の展示は、主にHangar1〜Hangar6の6つの建物に展示されています。第一次世界大戦期から現代まで幅広いラインナップ。
- Hangar 1:RAF Stories, The First 100 Years 1918–2018
- Hangar 2:The First World War in the Air 1914–1918
- Hangar 3-5:War in the Air 1918–1980
- Hangar 6:The RAF in an Age of Uncertainty
見所はHangar3-5だと思います。主に第二次世界大戦期に活躍した航空機が勢揃い。しかもイギリスの航空機だけではなく、アメリカやドイツの航空機も展示されています。
H1:イギリス空軍100年の歴史
Hangar 1はイギリス空軍博物館のエントランスになっており、入場者は最初にHangar 1に行く必要があります。
簡単な荷物チェックを受けて、いざ館内へ!
私が訪れた2019年9月は、イギリス空軍の100年(1918年〜2018年)の歴史の展示が行われていました。
航空機の展示というよりも、年表パネルでイギリス空軍の歴史を学べるコーナーになっています。
戦闘機のモックアップ、へリコプター、軍用車両など、イギリス空軍で使用されていたものが展示されています。
Hangar 1の奥にあるのがショート・サンダーランド。第二次世界大戦で使用された大型の飛行艇です。
サンダーランドは内部に入ることも可能。内部はガランとした空洞になっていますね。そして広い!
シートなどの設備は最低限といった感じ。
サンダーランドの脇はカフェになっています。
ミュージアムショップもあります。
H2:第一次世界大戦で活躍した航空機
Hangar 2には、主に第一次世界大戦期に活躍した航空機が展示されています。
この時代の航空機となると、にわか航空ファンの私には全く分かりません。個人的に気になった航空機をいくつか載せておきます。
解説を見ると、エアレースで使用されていた航空機みたい。エンジン出力はたったの50hp、最高時速は130km/hだそうです。年代的には1911年~1914年で、第一次世界大戦よりも前ですね。
時代は少し進みます。こちらは1918年~1933年に利用されていた訓練機。
奥に進むと、第一次世界大戦期の航空機がたくさん展示されています。
機関銃が装備されていますね。人手で狙って撃つタイプ、とっても古典的な武装です。
天井に吊るされて展示されている航空機もあります。
展示はイギリス空軍の航空機だけではありません。こちらはドイツ帝国軍航空隊によって使用されたAlbatros D.V。
この時代の航空機は、主翼が2枚以上ある複葉機が主流。多くは2枚の主翼ですが、Sopwith Triplaneは主翼が3枚ある珍しいタイプ。
複葉翼にする理由は、この時代はエンジン出力が小さく速度が低いので、1枚の主翼では十分な揚力を得られなかったためです。
H3-5:第二次世界大戦期の航空機
Hangar3〜5は、3つの展示エリアが一つの建物に集まっている感じです。そのため展示エリアは広大なスペースになっています。
どうです、ギッシリと航空機が敷き詰められているこの光景。航空ファンには観劇です。
さすがに全ては紹介できないので、私が気になった航空機を独断と偏見でご紹介していきます。
こちらはホーカー・ハリケーン。第二次世界大戦でイギリス空軍で使用された戦闘機。第二次世界大戦の初期から終盤まで広く活躍した戦闘機ですね。
こちらはホーカー・タイフーン。ホーカー・ハリケーンの代替機として開発された期待ですが、戦闘機としては性能不足だったとのこと。
そのため、使用用途を戦闘爆撃機に変更して運用することで、成功を収めた機体です。
よく見ると、主翼の下には爆弾がぶら下がっていますね。ホーカー・ハリケーンよりも、重装備な印象です。
ハリケーン、タイフーンときて、次にくるのはホーカー・テンペスト。
ホーカー・ハリケーンの発展型として開発された戦闘機です。第二次世界大戦終盤の1943年から量産された戦闘機です。
イギリス空軍の中で、最も高速な戦闘機だったそうです。
ホーカー・テンペストに搭載されているエンジンは、ネイピア製サイバーです。いくつか派生モデルがありますが、展示されているのはセイバーIII。H型24気筒のエンジンで、2,250馬力を誇ります。
バトル・オブ・ブリテン(Battle of Britain)とは、イギリス上空とドーバー海峡で、ドイツ空軍とイギリス空軍の間で戦われた航空戦のこと。
1940年7月10日から10月31日まで続いており、史上最大の航空戦と言われています。
という私も、イギリス空軍博物館を訪れて初めて知りました。
バトル・オブ・ブリテンではホーカー・ハリケーンと共にスーパーマリン・スピットファイアが活躍しました。
スピットファイアはイギリス空軍の主力戦闘機。イギリスをドイツ空軍から救った救国戦闘機とも呼ばれているそうです。
イギリス空軍と言ったらスピットファイアと言っても過言ではないくらい、有名な戦闘機。
にわか航空ファンの私でも知っているくらいです。日本で言う零戦のポジションだと勝手に思っています。
エンジンは、ロールスロイス社製のマーリン。マーリンはイギリス製レシプロエンジンの中で、最も成功したエンジンと言われている傑作。
V型12気筒で1,375馬力。馬力だけ見ると、フェラーリのV12エンジンよりも馬力あるじゃん。
相手国となるドイツ空軍は、メッサーシュミット Bf 109E。
改良を重ねて、第二次世界大戦の開戦当初から終戦まで活躍した、ドイツ空軍の主力戦闘機です。
正真正銘ナチスドイツの戦闘機。何となく不気味なカラーリングな気がします。尾翼のハーケンクロイツが印象的。
こちらもナチスドイツの戦闘機。
制空戦闘機として開発されて、バトル・オブ・ブリテンにも投入されましたが、双発機なので、単発機ほどの俊敏性は無かったみたい。その結果、スピットファイアにボコボコにされてしまったそうです。
最終的には、ナチの夜間戦闘機として活躍したそうです。
見た目とカラーリングが凶悪。
イギリス空軍博物館には、アメリカ空軍の航空機も展示されています。
アメリカのカーチス・ライト社が開発した戦闘機。アメリカ製の戦闘機ですが、連合軍で使用されており、イギリス空軍でも活躍してました。
アメリカ製の戦闘機は他にもあります。こちらはノースアメリカン社製のP-51 マスタング。金属剥き出しのベアメタルな機体が美しいですね。
ボーイング社製の大型爆撃であるB-17。愛称のフライング・フォートレス(空飛ぶ要塞)に相応しい大型の機体です。
日本だとB-29の方が有名ですが、B-17も第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で活躍した爆撃機です。
Hangar 3-5の展示の中で、一番大きくて目立つ展示はアブロ・ランカスター。ドイツに対する夜間爆撃で活躍した爆撃機です。
見た目は無骨で、闇に紛れそうなブラックなカラーリング。
タイヤが極太ででっかいですね。
H6:現代のイギリス空軍
展示エリアの最後はHangar 6です。
Hangar 6には1980年から現在のイギリス空軍の航空機が展示されています。
Hangar 3-5と比べると、展示スペースはかなり狭いです。
まとめ
この膨大で貴重な展示を無料で楽しめる、航空ファンにとっては素晴らしい博物館です。
正直なところ、第二次世界大戦以前のことは無知だったのですが、イギリス空軍博物館を訪れ、Wikipediaなどで調べながらブログを書くことで、大戦や航空機の発展の歴史を知ることができました。
航空ファンとしては航空機を見ているだけでも楽しいですが、予習復習はとっても大事。歴史とセットで、楽しみたいイギリス空軍博物館でした。
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